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社長ブログ「明日への扉」

2012年08月09日

「小説・震災後」

「小説・震災後」(福井晴敏 小学館 2011)という本を読了しました。

タイトルの通り、東日本大震災と、原発事故がモチーフになっているのですが、

書かれている内容は、それをきっかけとして、思春期の息子と父がどう向き合っていくか、

その対立に周りがどうサポートしていくか、という内容でした。

また、そこから派生して「今」の大人が作り上げた文明社会と、

その裏にある核廃棄物という、今後数万年にわたって残してしまう負の遺産、

これをどう解釈していいのか、どのように負担していけばよいのか、

という文明論まで踏み込んでいます。

 

この指摘、漠然とわかっていながらも非常に深いもので、

以前からここでも書いている、原子力について、エネルギーについて、

冷静な議論が必要だ、ということに対する、一つの示唆を与えてくれています。

どうしても将来へ残してしまうゴミを生産してしまった責任をどうするのか、

何がキレイごとで、何が現実なのか、いかに現実を直視していなかったのか、

ここまで歪みを持ちつつ作り上げた社会を、どのように次の世代に渡していくのか、

そして、文明とは何のためにあるのか、未来とは、夢とは何なのか...。

 

この主人公、実はクライマックスでは感情的になってしまっているのですが、

それだけに、読者としてはひとつひとつ、冷静に考えさせられてしまいます。

また、それに対して、読者が希望を持てるヒントを、末部に残してくれています。

ぜひ多くの「国民」(あえてこの言葉を使いたいと思います)に読んでもらい、

この国、この文明の将来について、我々の子孫について、じっくり考えてもらいたいと思います。

 

この著者、私は読んでいないのですが、

映画にもなった「亡国のイージス」やその他の作品でも、

このように世代間の断絶と理解、社会との関わりなどをテーマにして著してるそうです。

他の作品も読んでみたいと思います。

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2012年08月09日 14:21 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)

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