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社長ブログ「明日への扉」

2012年09月14日

領土問題をどう解決するか

「日本の国境問題」(孫崎享 ちくま新書 2011)を読みました。

それまでも何冊か、領土問題に関する本を読んだのですが、

この本は、眼から鱗というレベルでなく、今までの考え方を一変させる内容でした。

 

まず、日本で領土問題になっている尖閣諸島、竹島、北方領土の経緯が書いてあるのですが、

日本国内での世論、マスコミ、政府の論調である「日本固有の領土」という表現が、

相手国の主張とその根拠を見ると、非常にあやふやなことがわかります。

しかもこの本には、雰囲気や世論の流れではなく、

時系列にそって双方の発言や文書が事実として列挙されているので、

とても説得力があり、今までの認識がまったく覆ります。

逆に、このような歴史の流れを踏まえないで、今の雰囲気のまま判断すると、

とんでもないことが起きてしまうことがわかります。

自分で調べもせず、報道や世論を鵜呑みにして自分の意見を決めることは、

非常に危険なことだと思いました。

 

そして、この3つの領土問題に対して、

それぞれの国の事情、経済力、軍事力、政治状況などの前提条件を示し、

また歴史上、領土紛争をどのように解決したかという例も参考にして、

どのように解決していったらいいか、ということを提案しています。

 

例えば棚上げ。領土問題は先送りして、お互い仲良く成長して行きましょう、

ということです。

実は日中間ではこのようになっており、尖閣問題も棚上げにしてあったはずでした。

しかも事実を並べていくと、これを棚から下ろしてしまったのは日本のようです。

先送りというと、よくないことの象徴のように思われますが、

それを先送りすることによって、他のことで協調でき、両国が発展するのであれば、

それも実利を取る知恵だということです。

 

そして、棚上げした上で両国が国境付近を共同開発するなどして経済的利益を取る。

それを発展させ、お互いに無くてはならない存在になるということです。

第二次大戦後のドイツとフランスが、いい例として紹介されています。

このように、二国間の問題は領土問題だけではないのだから、

その他の共通の利益に注目していけば、関係は進展するということです。

また、国連会議や国際司法裁判所など、第三者を積極的に介在させるというのもあります。

 

このようにして、とにかく最後の最後まで紛争を避ける、

これが両国にとって、また、世界全体にとって総体的にメリットになる(最悪のデメリットにならない)、

というのが主張です。

 

マスコミの力は強いですから、どうしても局所だけに焦点がいってしまいます。

でも、ずっと視点を引いて、どのようにしたらお互いいい結果を得られるか、

当たり前ですが、この点から物事を見ていかなければいけないと思います。

以前勉強した、交渉学にも通ずるものががあります。

 

この本も歴史を調べ、それを著者が整理して書いているので、

著者の主観が入っていないとは言えないと思います、

また、自分の考えが変わったからといって、

私が領土はどうでもいいという考えになったわけでもありません。

しかし、今ホットな話題になっている領土問題について意見を持つ以上、

客観的な事実とお互いの主張、背景を知らないまま議論をすると、

結局は間違った方向に行ってしまい、お互いの利益にならない、

そんな危険を感じました。

この本は、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

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2012年09月14日 14:49 | パーマリンク | コメント (1) | トラックバック (0)

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コメント

1件のコメントがあります

正確な知識に基づく判断、これは必須ですね。そして外交は、すべてを飲み込んだ上でのポーカーフェース(双方の了解の上で)が必要だと思います。今の政治家にはないものです。中国、韓国との関係、暴動を起こしている人達がすべての中国人、韓国人を代表しているとは思われません。私達も民間レベルで、冷静に考えていきたいと思います。